一階に足を踏み入れると、そこは湿ったブルータリズムの迷宮だ。家賃の安さに惹かれて入居した「普通の家族」たちが、剥き出しの配管とコンクリートの壁の間で、倦怠した日常を営んでいる。
「庭園? ああ、パンフレットには書いてありましたね。でも、エレベーターはいつも一階で止まったまま。上のことなんて、誰が気にするんです? 昨日の夕飯の残りを片付けるだけで、一日は終わるんですよ」 ——105号室、主婦・T(42)
彼らにとって、このマンションは「空中の楼閣」ではなく、単なる「動かない乗り物」に過ぎない。上層への関心は、日々の生活という重力によって、執拗に下へと引きずり戻されている。
遊園地の乗り物が、飾られていた。。