空中マンション

空中マンション

重要事項説明書:宝・空中開発マンション使用貸借契約

本物件(以下「タカラ」という)にご入居いただくにあたり、貸主(管理会社「蛇」および管理人)と借主(入居者)との間で締結される契約内容は以下の通りです。本内容は物理法則および既存の宅地建物取引業法を超越した特約を含みます。

第1条(物件の外観および構造に関する秘匿義務)

  1. 本物件は、地上および外部からの観測において「凡庸な14階建てのRC造マンション」として提示されるものとする。
  2. 借主はこの外観的合意を尊重し、外部に対して本物件が浮遊している、あるいは15階以上の階層が存在する等の虚偽の情報を発信してはならない。

第2条(賃料および居住証明債務)

  1. 本物件の金銭的な賃料は無償とする。ただし、借主は居住の対価として、本物件内での見聞に基づく「居住証明テクスト(以下「テクスト」という)」を定期的に発行し、管理人に提出しなければならない。
  2. テクストの形式は、第三者によるルポルタージュ、日誌、詩、Wiki、チラシ裏のメモ、小説等、いかなる媒体も問わない。
  3. テクストの分量は、一単位につき500文字から1500文字程度にまとめること。これに満たない、あるいは大幅に超過する記述は、管理人の要請に基づき編集する義務を負うものとする。

第3条(空間の変質および「乙」への対処)

  1. 借主が上層階へ進むにつれ、物理的・概念的な異変(空間の歪曲、意味の剥離、不条理現象。以下これらを「乙」とする)に遭遇する可能性がある。
  2. 借主が「乙」に遭遇し、それをテクストとして記述する場合、日本語としての可読性を放棄してはならない。

第4条(禁止事項および屋上への接近)

  1. 本物件の最上部、すなわち「屋上」への到達および探索を、理由の如何を問わず固く禁ずる。 借主は屋上を目指してはならず、また屋上の存在を前提とした行動を慎まなければならない。

第5条(入居資格および空室利用)

  1. 現時点で空室となっている区画については、借主の判断で自由に使用・占有できるものとする。

第6条(契約の解除)

  1. 借主が記述するテクストから「意味」が完全に消失した場合、あるいは借主が「屋上」への執着を見せた場合、本契約は直ちに解除される。
  2. 解除後、借主の肉体および所有物は「増築資材」として再利用されることにあらかじめ同意するものとする。

管理会社「蛇」 代表 管理人

読める文字、明確な顔、人間の解剖学、きれいな線、論理的な遠近感、これら全てを強く否定し、意味のある形に逃げるのを防ぎます
数えきれない指が ピアノ線の胎児を撫で 融解する鼻腔から ネオンの膿が滴る 接続を 間違えた 大腿骨のプラグ 不飽和な筋肉が バイナリの夢を 貪る 。 「意味は、解像度の裏側に捨ててきたぞい」