1. 地理と環境:『錆と血の防波堤』
鉄砂の海岸 (Iron Sand Coast)
大陸棚が急激に落ち込む「暗黒海(ニヴル海)」に面しており、激しい潮汐によって海底から巻き上げられた砂鉄と、古代の遺物(スクラップ)が打ち上げられる。
- 景観: 植生はほとんどなく、赤錆びた鉄屑の山と、黒い砂浜が続いている。
- 資源: コロイド鉱脈は少ないが、海底から噴出するミネラルや、漂着する古代金属(レアメタル)が豊富な資源となっている。
脅威:アビサリアンの上陸
ここは深海種族「マタク・モコ(アビサリアン)」の主要な上陸ルートとなっている。 住民にとって戦争は「非常事態」ではなく「日常業務」であり、彼らは常に武装し、海岸線に「防衛線(バリケード)」を築いて生活している。
2. 支配者:コーツ家 (House Coates)
一族の概要
ガレアス・コーツ伯爵を当主とする、武断派の辺境領主。
- 血統: 古代の「ヴァスカ人(技術者・戦士)」とナギの混血家系であり、神殿の純血主義とは相容れない。
- 家業: 「古代屑(スクラップ)の再結晶化事業」。漂着したゴミを、ラヴァフォージ技術で「武器」や「建材」に再生して富を得ている。
呪い:『錆びつく水晶病』
一族は遺伝性の奇病「錆びつく水晶病」を患っている。
- 症状: 皮膚や内臓が徐々に鉱物化(結晶化)していく病。
- 蒸気甲冑: 当主ガレアスをはじめとする騎士たちは、病の進行を抑える(あるいは隠す)ために、生命維持装置を兼ねた重厚な**「蒸気甲冑(スチーム・アーマー)」**を常時装着している。
3. 文化と社会:『ブリコラージュの戦士』
スクラップ・アーミー
住民たちは、神殿から与えられる「聖なる武具」を待ったりはしない。 浜に打ち上げられた星外の残骸、壊れた掘削機、レヴィアタンの骨などを、自分たちの手で溶接・改造(ブリコラージュ)し、独自の兵器を作り上げている。
- 精神性: 「使えるものは何でも使う」。神殿の教義よりも、目の前の敵を殺せる「鉄塊」を信じる実利主義が根付いている。
反・中央(アンチ・セントラル)
彼らは、安全な壁の中で祈っているだけの聖都(ウェノ・マトル)の人間を「温室の豚」と蔑んでいる。 コーツ家は神殿に対して極めて敵対的であり、隙あらば独立、あるいはアクラブ(雨街)との直接交易を画策している危険分子でもある。
4. 重要施設:沖合中継塔『アトゥーシュ』
この海域の沖合、絶海の岩礁に建設された巨大な塔。
- 役割: 神殿の「神託(潮汐データ)」を中継する灯台であり、同時にアビサリアンの襲来を早期警戒する監視所。
- 住人: 管理官ナシファや、労働者レキフたちが住み込みで働いている。物語の開幕地点であり、世界の崩壊(異常潮位)が最初に観測された場所でもある。

