聖遺物適合手術(後述)の副作用、あるいは家系的な遺伝要因により、肉体の成長が少年期(14〜15歳前後)で停止したかのような外見を保っている。 身長は150cm台半ばと成人男性としては小柄であり、本人はこれを強くコンプレックスとしている。そのため、常に底の厚いシークレット・ブーツや丈の長いシルクハット、身体の線を隠すマントを着用し、視覚的な威圧感を補っている。 「永遠の少年」のような美貌を維持しているが、中年期に差し掛かりつつある現在は、肌の衰えを隠すために白粉を厚く塗り(通称『厚塗りの仮面』)、照明を落とした環境を好む傾向がある。
性格
対外的には「恋多き貴公子」として振る舞い、数々の浮名を流すが、その本質は冷徹なリアリストである。 「汗臭い暴力」や「野蛮な行い」を生理的に嫌悪し、法と秩序による統制を絶対視する。特に北部の重装歩兵部隊(ヘマタイト兵団)やその指揮官ヤルン・スカーに対しては、露骨な軽蔑と敵対心を抱いている。 また、潔癖症の傾向があり、他者との物理的な接触を極端に避けるため、常に高級な革手袋を着用している。
発声
変声期前の少年のような澄んだ高音(ソプラノ)を意図的に維持している。しかし、これは喉を締め上げた発声法による演技であり、動揺した際や寝起きなどには、年相応の低い声が漏れることがある。
来歴
生い立ち
かつての名門アランデル家に生まれる。実家は借金により没落状態にあり、当主である母から家再興のための「政略結婚の道具(種馬)」として英才教育を受けて育った。剣術よりもダンスや詩、女性を悦ばせる会話術を叩き込まれる幼少期を過ごす。
騎士団入団と「去勢」
10代後半、母が決めた資産家の老婆との婚約に反発し、身分違いの少女とのスキャンダル(心中未遂とも)を起こして婚約を破談させる。その後、自ら聖緑青騎士団への入団を志願した。 入団時に必須とされる「聖遺物接ぎ木手術」を受けたことにより、高い戦闘能力と引き換えに生殖能力を喪失した。この選択は、母が執着した「アランデルの血統」を自らの手で断絶させるという、実家に対する復讐であったとされる。
能力・装備
戦闘スタイル
腕力やリーチの不利を補うため、中距離からの攻撃と「敵を跪かせる」戦術に特化している。 主武装は仕込み杖。展開すると高周波で振動する「レーザーウィップ(鞭)」となり、敵の腱や急所を正確に切断する。自身の目線より高い位置にいる敵を嫌い、アキレス腱などを攻撃して体勢を崩させ、上から踏みつけるような戦闘を行う。
諜報活動
生殖能力を持たない身体であることは、家系図と血統を重んじるナギ教圏の貴族社会において「妊娠のリスクがない安全な愛人」としての価値を持つ。 彼はこの特性を利用して聖諸侯の未亡人や夫人たちと交際し、寝室での会話から夫の不正や政治的な機密情報を収集している。
通称・異名
- 菫色の騎士 (The Violet Knight) 彼が好んで身につける菫色(バイオレット)の衣装に由来する。赤(情熱)と青(理性)の中間色であり、去勢によって行き場を失った情動(鬱血)の象徴とも解釈される。
- 小さな菫 (Little Violet) 貴婦人たちからは愛称として、政敵(特に北部)からは「日陰のチビ」「踏めば潰れる」という侮蔑を込めて呼ばれる。一方で、裏社会においては「出会えば死ぬ」という意味を持つ恐怖の符丁として流通している。
- 不毛のドン・ファン 数多の女性と関係を持ちながら、決して子を成すことがない(成せない)彼の在り方を指した呼び名。