701:丸楠

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かつて私は、言葉によって世界を解体できると信じていた。現代のプロレタリアートを気取り、資本の運動法則を暴くことに魂を売り、その「真理」を具現化するためにすべてを擲(なげう)った。

私の負債は、世俗的な遊興によるものではない。それは、上部構造を粉砕しようと足掻き、その過程で基礎となる経済的土台そのものを焼き尽くした結果だ。稀覯本(きこうぼん)の収集、思想的闘争への果てしない支援、そして何より「労働という隷属」を拒絶し続けるための代償。

かつての聖者が「富」を捨てたように、私は市民的信用を捨て去った。

今、この邸宅を支えているのは、銀行の通帳に記された冷徹なマイナスの数字——「負の剰余価値」である。資本主義という名の巨大な怪物の胃袋から掠め取ったこの金は、もはや流通の円環には戻らない。それは、この天空の聖域でただ浪費され、無へと帰すためだけに存在する、純粋なる呪われた部分のみだ。

階下では、人々が明日の食事のために、あるいは故郷での利子の返済のために、己の生命を切り売りしている。その労働の圏域に共鳴するかのように、私は借り物の光の中で、生産性を徹底的に拒絶した思索に耽るのだ。

借金が膨らむほどに、私は自由になる。 市民としての未来を抹殺し、ただ今という一瞬にすべてを賭ける。これこそが、資本の論理に対する究極の侵犯であり、人民を隷属から解き放つ唯一の儀式だ。

窓を打つ静謐は、破滅の足音に似ている。 だが、視界は非知へと開かれ、私はこの供物と共に、神聖なる沈黙の中へと沈んでいく。

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universe :

空中マンション

Era :

2,016

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