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 バババダルガラ・ガラクタ・ガラン・ドンドォォン! ――はるか頭上の「上層」で、大シリンダーの排気弁が、雷鳴を上げた。

 クロンビー氏とそのご友人であるレネガルズ氏は、コヴェナントの街の外の郊外、またの名を粘り気のある暗闇、もしくは学術的に呼ばれるところのアーキ・テクチュアルな洞窟の中を進んでいた。二人の視界を唯一確保するのは、頭部に直結した夜光装置が映し出す、人工的な深緑色のみであって、無限の回廊ともいえる、旧シリンダーの構造廃棄物たちが、幾何学的な絶望を伴って地下へと螺旋を描き、降下するたびに二人を汚れた文明から、ただただ根源的な汚濁へとさらに遠ざけていくのであった。

肉屋を生業とするレネガルズ氏の足取りには、ある種の日常的な沈黙が宿っていた。一方で、塵埃の積もる書斎の奥底でマスケットの金属皮膚を愛撫することに一生を費やしてきたクロンビー氏は、慣れない換吸器の息苦しさも相まって、すぐに根を上げてしまったようだ。彼は鏡面仕上げを施された増幅マスケットにすがりつき、杖代わりにして、この地下洞窟の壁へと座り込んでしまった。

「なァにをモタついてやがんだ、クロンビーの豚さんよォ! てめェのそのナリぁ、捌きたての牛脂みたいなマヌケズラだぞ。ヒィヒィ鳴くのを聞くために、その体をここまで引き摺ってきたんじゃねェだろ。てめェの自慢のパワーボールを吠えさせに来たんだろォが、おォん?」

レネガルズ氏は、いつものエプロンをかけたまま、腰にはマチェットを携えていた。

「パーム・ウォーカーの二、三匹もバラしてよ、このままじゃ上等な塩もったいねェ。テメェのド腐れ肉に振りかけっぞ」

「レネガルズ、こんな深く潜るなんて聞いちゃいないだろ。俺がコヴェナントに来た頃なんて、そこら中にパーム・ウォーカーなんて飛び回ってたんだ。それが、今じゃもう限界点ギリギリだ。これ以上深く潜ったらピカが苦いぜ」

「いつの話をしてんだァ、このよそモンが。奴らは明るい所は苦手ってんだ、もっとニガニガでジメジメしたところが好きだろォが」

「ポイントまではあとどれ位なんだ?」

「オォン?もうすぐそこだろォよ。お前はバカか、草が夜光機で見えねェってか?」

クロンビー氏は後悔していた。久々の狩という楽しみも、ここまで深く潜ったら、往復するだけで疲れてしまう。やがて空間は、鉄の冷酷さを脱ぎ捨て、地下深くの不気味な草原へと辿り着く。

 そこは、網膜を灼くような、不快で歪んだ光が漏れ出す(おおよそ健全な肉体にはもちろん有害です!)、開けた草原だった。

「悪くないフレイだ」レネガルズ氏はそう言って、さっそく仕掛けの準備を始めた。

「みてみろよォ、太っちょのうまそうなモスだろう。え?ジューシーだろうよぉ、こいつを仕掛けて、血をまいて、近寄ってきたらあんたが磨いたマスケットで、ズ・ド・ン!ってわけよォ」

「オォン、気になるなら帰ってシャワーを浴びたら、サッパリだろうよ。あんたはピカを浴びた後はシャワーも浴びねぇのか、そいつぁニゲぇし、ウェっよ」